STORY
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救命医療の最前線~チームでつなぐ命のバトン~
2005年看護師となった。
新卒として内科の集中治療室へ配属され、その後外科の集中治療室に移動し経験を積んだ。
そして、現在、2次救急・3次救急の患者を24時間受け入れる初療・アンギオの看護師として勤務している。
ホットラインが鳴る(ホットライン:救急隊専用電話)
初療に緊張が走る…
交通事故による多発外傷の受け入れ要請。
救急隊からの情報をホワイトボードに整理する。
救急車の到着まで10分。
状況把握を行い、緊急度・重症度を判断し、受け入れの部屋を準備する。
救急隊の情報から頭部外傷、右下肢開放骨折の疑いあり。
医師・看護師が情報共有し、最悪の事態を想定し何が必要で何を準備しておくかを考え、人員を確保し、多職種と連携する。
受け入れまでの10分間。この時間に何を考え、どれだけ準備ができるかが患者の診断・治療をいかにスムーズに行えるかのカギとなる。
患者が到着する。
「助ける」ためにやらなければならないことはたくさんある。優先順位を考える。
部屋に入るまでの数秒で第一印象の評価(A:気道、B:呼吸、C:循環)を行う。
意識レベルが低下し、呼吸が安定しない。ABの安定化が最優先。
呼吸補助を行いながら、静脈ラインの確保。薬剤・気管挿管準備などそれぞれのスタッフが自己の役割を理解し声を掛け合いながら、医師が診察をスムーズに進める。
患者を中心に医療スタッフが一丸となりチーム医療を発揮する。
準備が整えば挿管、さらに詳しい検査へ移行する。必要な処置を初療で施し、手術や集中治療室へ送り出す。
患者が一命をとりとめる。
「助かった」
スタッフ一同安堵し、緊張が解ける。
どっと疲れも押し寄せるがやりがいと達成感を感じる瞬間でもある
もし、私が家族なら何の状況もわからないまま待たされる時間は1分1秒が長く感じ、不安でパニックになるかもしれない。
そして、少しでも早く患者の状況が知りたいと思うだろう。同様に患者の家族も急な疾病や事故にあえば、大きな不安にさいなまれる。
初療の現場では、患者の救命が最優先される。そんな中でも家族にも目を向け、少しでも不安が軽減できるように可能な限り早く家族に接触し声をかける。
初療で働く看護師として家族の心理的状況、不安の程度などを評価し、家族の不安に寄り添うことも重要な役割の一つだと考え大切にしている。
現在はり姫の初療は開院直後であり発展途上です。2施設が統合され、それぞれに強みを持った医療スタッフが集結し、それぞれの持てる力を、出し合い協働しながら、日々成長しています。
そして、医療チームが最大限のパフォーマンスを発揮するため、日々のコミュニケーションを大切にし、症例を振り返りながらより質の高い医療が提供できるよう努力しています。
地域の方から「はり姫の救急に運ばれたなら大丈夫」と安心してもらえるようなチーム医療が提供でき、救急の現場でも患者や家族の不安や悲しみ、心的ストレスに寄り添える看護師を目指していきます。
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