検査部

検査部診療科・部門・センター

部門の概要

検査部は、検体検査と生体検査と採血部門の3部門に分かれています。

検体検査部門

  • 臨床化学・免疫検査(生化学、免疫化学、内分泌、腫瘍マーカーなど)
  • 血液検査(CBC、血球形態、凝固検査、フローサイトメトリー検査など)
  • 一般検査(尿検査、便検査、寄生虫検査など)
  • 輸血検査(血液型、交差適合試験、抗体スクリーニングなど)
  • 細菌検査(感染制御、抗菌剤適正使用など)
  • 病理・細胞診検査(病理検査、細胞診検査、術中迅速検査、病理解剖など)

生体検査部門

  • 生理機能検査(一般的な心電図や脳波検査および呼吸機能検査、ホルター心電図、運動負荷心電図、CPX(心肺機能検査)、睡眠時無呼吸検査、神経系検査など)
  • 超音波検査(心臓、腹部、血管、体表など)

採血部門

最大で10名の同時採血が可能です。採血以外に口腔や鼻腔からの検体採取も行っています。

検査部で最も重要なことは検査結果を保証する精度管理で、検査機器や検査試薬の状態を判断するために、管理試料を用いた精度管理(内部精度管理)や機器のメンテナンス作業を毎日行っています。その他、外部精度管理として日本臨床衛生検査技師会主催の精度管理調査、兵庫県臨床検査技師会主催の精度管理調査、機器メーカーによる精度管理調査などへ積極的に参加し、良好な結果を得ています。

当院の検査部は、緊急手術、救急搬送、入院患者急変時の緊急検査や輸血血液製剤管理に臨床検査技師が24時間体制で対応しています。

検体検査

1.臨床化学・免疫検査

臨床化学検査は、血液・尿・体腔液等に含まれる化学的成分(糖・蛋白・脂質・酵素等)を分析しています。これらの成分には病気の進行状況や有無によって、性状や量的変化が認められ、病気の診断や治療効果の判定等に大変有用です。また、免疫検査では体内の腫瘍細胞が作り出す物質である腫瘍マーカーの測定や肝炎ウイルスやエイズウイルス等の感染の有無を調べています。

2.血液検査

血液検査では、自動血球計数装置を用いた血球算定(白血球・赤血球・血小板・ヘマトクリット値・血色素濃度など)、末梢血液像(血球の形態学的検査)、骨髄検査、血液凝固検査などを行っています。これらの検査を行うことで、血液疾患の病態解析、診断治療効果の判定、治療経過の観察に貢献しています。

末梢血液像は、自動血球計測装置の結果に異常があった場合や血液疾患の場合は、血液塗抹標本を作製し目視で細胞分類を行っています。フローサイトメーター(11カラー)を用いて、造血器腫瘍細胞抗原解析検査(骨髄・組織等)、リンパ球サブセット、CD34陽性細胞の測定を実施しています。

3.一般検査

一般検査分野では尿検査の他に、便・体液・穿刺液など様々な検体を扱います。一般検査は診断の上で、重要なスクリーニング検査といえます。

4.輸血検査

安全な輸血のため血液型等の輸血検査と輸血用血液製剤の管理を高度専門医療及び救命救急医療に対応するため24時間体制で実施しています。

1)輸血検査

全自動輸血検査装置(ORTHO VISION)を2台導入し、輸血前に行う検査(ABO血液型、RhD血液型、不規則抗体)を24時間体制で実施し、安全かつ迅速な輸血検査を実現しています。その他の輸血検査(直接クームス検査、間接クームス検査、抗体同定検査、交差適合試験、その他のRh血液型等の精密検査も実施しています。

2)製剤管理

輸血用血液製剤(赤血球製剤、新鮮凍結血漿、血小板製剤、アルブミン)を適切な温度管理のできる保冷庫、冷凍庫で保管しています。また、血小板製剤は温度管理のできる庫内の振とう器で患者さんに輸血されるまで適切に保管しています。また、救急医療に対応するため、大量輸血プロトコール(MTP)用にO型の赤血球製剤及びAB型新鮮凍結血漿を救急初療室に配置し、緊急輸血に対応できるよう製剤管理も行っています。輸血過誤の防止のため、輸血製剤管理システムによるコンピュータクロスマッチを導入し、患者さんの血液型と違う製剤を割付すると警告を出し、輸血ミスを回避できるような体制を構築しています。

主要項目

1.臨床化学・免疫検査

肝機能 総蛋白、アルブミン、T.Bil、D.Bil、AST、ALT、ALP、LD 等
腎機能 UN、クレアチニン、尿酸
膵機能 アミラーゼ、リパーゼ
脂質代謝 中性脂肪、総コレステロール、HDL、LDL
鉄代謝 Fe、UIBC、フェリチン
糖代謝 血糖、インスリン、CPR、HbA1c
電解質 Na、K、Cl、Ca、IP、Mg
腫瘍マーカー CEA、CA19-9、AFP、PIVKA-Ⅱ、CA125、CA15-3、SCC、PSA 等
血中薬物濃度 ジゴキシン、バンコマイシン、フェニトイン、バルプロ酸 等
甲状腺関連検査 TSH、FT4、FT3、TRAb
血液ガス pH、PO2、PCO2、tHb、HCO3、BE 等
感染症関連検査 HBs抗原、HCV抗体、HIV抗原/抗体、TPHA、RPR 等
その他 トロポニンI、トロポニンT、BNP、NT-proBNP、ビタミンB12 等

2.血液検査

血算 白血球数、赤血球数、血小板数、ヘモグロビン濃度 等
凝固検査 PT、APTT、フィブリノゲン、FDP、Dダイマー、血小板凝集能
その他 造血器腫瘍細胞抗原解析検査 リンパ球表面マーカー解析、CD34陽性細胞数、赤血球沈降速度、へモグロビンA1c 等

3.一般検査

尿検査 尿定性(ウロビリノーゲン、潜血、pH、糖、蛋白 等)、尿沈渣
便検査 潜血反応
その他 妊娠反応、尿中肺炎球菌抗原検査 尿中薬物検査 等

4.輸血検査

血液型検査 ABO血液型、RhD血液型
輸血検査 不規則抗体スクリーニング検査、不規則抗体同定検査、直接クームス試験

主な導入機器・システム

1.導入機器

区分 メーカー名 機器名 台数
検体搬送システム シーメンスヘルスケア・ダイアグスノティクス Aptio 1
生化学・免疫検査測定機器 アボットジャパン Alinity C2I 3
免疫自動分析装置 シーメンスヘルスケア・ダイアグスノティクス Atellica IM 2
免疫自動分析装置 富士レビオ ルミパルスG1200 1
免疫自動分析装置 ロシュ・ダイアグノスティックス Cobas e801 1
免疫自動分析装置 富士フイルム和光純薬 アキュラシード 1
血液ガス自動分析装置 ラジオメーター ABL800FLEX 1
血液ガス自動分析装置 ラジオメーター ABL800Basic 4
血液ガス自動分析装置 ラジオメーター ABL90 3
多項目自動血球分析装置 シスメックス XN9100 2
多項目自動血球分析装置 シスメックス XN1000 1
全自動血液凝固測定装置 シスメックス CN6000 2
グリコヘモグロビン測定装置 東ソー G11 2
尿自動分注機 テクノメディカ UA-ROBO 1
尿定性分析装置 栄研 US3500 2
尿中有形成分分析装置 シスメックス UF5000 2
便潜血測定装置 栄研 PLEDIA 1
イムノクロマト自動分析器 アークレイ SF5520 2
デンシトメトリー分析装置 富士フイルム AG-2 5
自動浸透圧測定装置 アークレイ OM-6060 1
血液沈下速度測定装置 フィンガルリンク ROLLER20 PN 1
フローサイトメーター ベックマンコールター DxFLEX 1
全自動輸血検査装置 オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス AutoVue Vsion 2
検体自動分注器 エーアンドティー MPAM 1

※青色の機器が検体搬送システム接続機器

2.導入システム

区分 メーカー名 システム名
検体検査システム エーアンドティー GL-3
輸血検査システム エーアンドティー BT-3
温度管理システム ホシザキ -
無停電電源装置 三社電機 -
連続電気再生式純水装置 東洋紡エンジニアリング TRO-120e 等

トピックス

  • 臨床化学・免疫検査では大半の検査機器や遠心機、検体保管用保冷庫等を自動搬送システムに接続することで、検査業務の省力化や効率化を図っています。また、自動搬送システムを活用することで、24時間365日どの時間もほとんど同じ検査項目を測定できるような体制を整えています。
  • 当院の検査部では、検査機器の大半を搬送ラインシステムと接続し、さらに検体の到着確認や遠心処理や開栓といった検体の前処理、検体の保管管理や廃棄までを搬送ラインシステムで行うことで業務の効率化や検査結果の報告時間の短縮に努めています。
  • その他にも検体検査室では、停電時等の非常時のための無停電電源装置(UPS)や各検査機器を使用する際に必要な純水装置を取りまとめ、各機器管理業務の効率化を進めております。

搬送ラインシステム 全体図

1.搬送ライン機能

  • 2.搬送ライン接続機器

3.その他機器

細菌検査

概要

細菌検査では感染症 (肺炎、膀胱炎、食中毒、敗血症など)の疑いのある検体(喀痰、尿、便、血液など)から、その原因となっている細菌を明らかにし、どの薬(抗菌薬)が効くのかを調べています。当院では感染症内科医2名が診療に従事しており、毎日欠かさず医師と検査技師でディスカッションを行っています。

また、感染症内科医を筆頭にICT(感染対策チーム)AST(抗菌薬適正使用チーム)の活動を毎週行っており、検出された細菌や抗菌薬の結果などについて多職種間でディスカッションを行い、迅速な診断と抗菌薬の適正使用に役立つよう情報交換しています。

トピックス

当院では分子レベルで菌を同定できる質量分析装置を導入しています。質量分析装置とは従来の生化学的性状を利用した同定検査と異なり、処理を施した細菌にレーザーを照射し、イオン化された蛋白の飛行時間の差による質量分析を行います。分析された質量パターンをデータベースと照合することで菌種が同定されます。

従来では、菌種同定は検体から培地へ塗抹し、培地に細菌が発育してから1日から数日かかっていましたが、質量分析により細菌が発育してから数分で菌名同定が可能です。迅速な治療が必要な敗血症では培養が陽性になった血液から質量分析を行うことで結果報告までの時間を大幅に短縮することができました。このように臨床へ迅速な報告をすることで患者様への適切な抗菌薬の選択、早期治療の開始に貢献しています。

病理検査

概要

病理部では、組織診断・術中迅速診断・細胞診断・病理解剖などを行っています。

  1. 組織診断
    生検や手術によって人体組織の一部を採取し、作製した組織標本を病理医が顕微鏡で観察し、病理学的診断を行います。
  2. 術中迅速診断
    手術中に採取された組織を迅速に標本作製し、病理医が顕微鏡で観察・診断して手術室に報告することで、術式や切除範囲が決定されます。
  3. 細胞診断
    人体から穿刺・擦過・塗抹などによって採取された細胞を染色し、細胞検査士と病理医が顕微鏡で観察することで良悪の判断や組織型の推定を行います。
  4. 病理解剖
    病気で亡くなった人を対象に解剖を行い、死に至るまでの経過の推定や病変の広がり、死因の特定を行い、治療効果や妥当性についても検討します。

トピックス

臨床との密なコミュニケーションを図り、迅速かつ親切・丁寧・適切な病理業務の遂行に努めています。手術室・外来・病棟と距離的にも近く、物理的にも臨床側の需要に対して迅速な対応を行うことができる環境にあります。日々、診療業務における縁の下の力持ち的な頼れる存在であることを目指しています。

超音波検査

概要

超音波検査は体の表面にプローブをあて、体内の臓器からはね返ってくる超音波を白黒の画像として映し出します。臓器内の小さな病変を拾い上げる能力に優れていることや血流情報とともに評価出来ることなどの利点をいかし、様々な臓器・疾患に応用されています。超音波検査は放射線などの被爆がなく、新生児から大人まで繰り返し検査が可能です。検査時には超音波のとおりをよくするためのゼリーを体に塗布して検査します。

主要項目

※画像は「JAMT技術教本シリーズ 超音波検査技術教本」より引用

1.心臓超音波検査(検査時間約30分)

心臓の各部分(心室・心房・弁など)の大きさや動きを観察します。また、カラードプラを用い、血流の流れ方の観察も行います。

2.腹部超音波検査(検査時間約30分)

肝臓、胆のう、胆管、膵臓、脾臓、腎臓などが検査の対象となります。主に大きさや性状、結石・腫瘤の有無を観察します。食事制限があるため検査予約時にご確認下さい。

3.血管超音波検査(検査時間約30分~1時間)

頸動脈、下肢静脈、下肢動脈、腎動脈など体の血管が検査の対象になります。検査の種類により食事制限があるため検査予約時にご確認下さい。

4.乳腺超音波検査(検査時間約30分)

乳腺の腫瘤の有無を調べます。乳腺が発達している若い方でもしこりを見つけやすく、小さなしこりも発見できます。放射線被ばくもなく痛みもありません

5.甲状腺超音波検査(検査時間約30分)

首にある甲状腺のサイズや形状、腫瘍の有無などを調べます。

※このほかにも造影超音波検査、負荷エコー検査、経食道エコー検査なども行っています。

トピックス

超音波センターは、13台のエコー機器を有し、心臓・血管・腹部・乳腺・表在といった幅広い領域のエコー検査に対応しています。ハード面では、三次元心エコーや肝臓の硬さ・脂肪を評価できる機器を導入しています。ソフト面では超音波専門医・指導医の指導のもと、各領域で定期的にカンファレンスを行い、検査の標準化と個々のレベルアップを図ります。これらを通じて、当院の掲げる高度先進医療を支え、患者さんに貢献してまいります。

生理機能検査

概要

心電図検査、血管機能検査、呼吸機能検査、脳波検査、筋電図検査といった、診断や治療に必要な検査を行っています。また、神経系の検査(術中モニタリング検査)や糖解析などの専門的な検査も行っています。

トピックス

当院は総合病院ですが、兵庫県立姫路循環器病センターで担ってきた地域の循環器診療の中核としての役割をそのまま引き継いでいます。従って、循環器疾患の診断や治療に必須な生理機能検査を多岐にわたり実施しています。心電図検査、脳波検査、呼吸機能検査以外にも、ホルター心電図検査、運動負荷心電図検査、CPX(心肺機能検査)、睡眠時無呼吸検査、ABI(四肢血圧検査)、体組成分析検査など身体の機能を客観的に調べる検査の他に、心電図のRR間隔で自律神経のダメージを推測する検査や、動脈硬化の早期発見・早期治療に有用なFMD検査も実施しています。

採血部門

概要

採血室は最大10名同時採血が可能で、採血や臨床材料の受け取りをしており、検体検査の窓口になっています。採血業務は臨床検査技師と看護師の共同で行っております。

トピックス

採血室・採尿室は病院棟2階で、実際に検査を行う検体検査室は4階となっており、ダムウェーダーにて検体を運搬しています。尿検査も4階で実施するため、採尿室は無人です。そこで、尿検体が提出されたことがわかるように、パドランプと連動した重量センサーを尿検体提出窓口に設置することで、取り忘れと検査報告遅延を防止しています。

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