2000年以降、多くの分子標的薬が登場し、現在、抗がん薬は200種類を超えるまでになっています。また、2014年にニボルマブが登場して以降、免疫チェックポイント阻害薬も7種類にまで増え、多くのがん種で標準治療に組み込まれるようになりました。
多数の分子標的薬および免疫チェックポイント阻害薬の登場により、治療選択肢が増えたことは喜ばしいことです。しかし、作用機序が多岐にわたる分子標的薬は、それぞれの薬剤に特有な副作用を引き起こします。また、免疫チェックポイント阻害薬も一部の患者さんには治癒の可能性をもたらしましたが、免疫関連有害事象という新たな副作用にも直面するようになりました。以上より、がん治療の現場は、多種類の治療方法や多彩な副作用により、患者さんや専門外の医療者には非常にわかりにくい状況となっています。さらに、がんゲノム医療の一般化がその状況に拍車をかけています。
われわれ腫瘍内科医は、そのような混沌とした状況のなかで、最善の治療へと通じる道しるべ的な存在と言えます。常に患者さんの望む結果が得られるわけではありませんが、それぞれの患者さんと一緒に、最善の道を探したいと考えております。
当院の腫瘍・血液内科は、固形がん担当の医師2名、造血器悪性腫瘍および良性血液疾患を担当する医師2名で診療にあたっています。がん薬物療法専門医は3名で、そのうち2名が指導医でもあり、日本臨床腫瘍学会認定研修施設となっております。また、1名が日本血液学会の指導医であり、日本血液学会の専門研修教育施設でもあります。このような充実した人員で神戸大学医学部附属病院の腫瘍・血液内科と協力し、臨床、教育、研究を行っております。
当科は専門医3名、専攻医1名、神戸大学からの非常勤1名の体制で運営しており、県内外問わずあらゆるタイプの固形がん・血液がん・良性血液疾患に対応しております。腫瘍内科領域においては最新の治療はもちろん、パネル検査等の遺伝子診療も大学病院やがんセンターと連携しながら実施しております。また、血液内科領域においては2024年より院内で骨髄やリンパ節、体腔液などの検体を用いた最大11カラーのフローサイトメーターが実装され、迅速な血液疾患の診断と治療が可能となりました。
がん薬物療法専門医が3名、血液専門医が2名在籍しておりますので、日々のカンファレンスや学会発表など、初期研修医や内科専攻医などの若手医師の受け入れ及び教育も充実しております。外来ではあらゆる癌種に対する外来化学療法の件数は年々増加傾向であり、入院では急性白血病に対する強力な化学療法、悪性リンパ腫・多発性骨髄腫などに対する自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法に対応しています。腫瘍・血液内科領域は日進月歩の分野であり、新規薬剤や治療法について常に最新のエビデンスに基づいて導入し、標準治療の実践を行って参ります。
きたがわ こういち
喜多川 浩一
診療科長・腫瘍センター長
【専門領域】
固形がん全般・血液悪性腫瘍
【学会専門医・認定医・その他】
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医 日本血液学会血液専門医 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医 医学博士(名古屋大学) 臨床研修指導医 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
おかだ ひであき
岡田 秀明
腫瘍・血液内科部長
【専門領域】
固形がん全般・呼吸器疾患
【学会専門医・認定医・その他】
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医 日本呼吸器学会呼吸器専門医 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
ごとう ひであき
後藤 秀彰
【専門領域】
血液疾患全般・固形がん全般
【学会専門医・認定医・その他】
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医 日本血液学会血液専門医・指導医 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 医学博士(神戸大学) がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
たけもと なおこ
武本 奈緒子
専攻医
【学会専門医・認定医・その他】
がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
やまぐち けいいちろう
山口 圭一朗
専攻医
【専門領域】
腫瘍・血液内科
【学会専門医・認定医・その他】
がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
今まで同様、抗がん薬を用いて、延命・症状緩和、再発予防、治癒のいずれかを達成することを目指して治療をしています。ご高齢の患者さんの場合、化学療法を躊躇されることもあるとは存じますが、一部の患者さんでは、病状改善、長期延命が得られますので、あきらめずにご紹介いただけましたら幸いです。