中耳真珠腫や慢性中耳炎(鼓膜穿孔)に代表される中耳疾患の根治治療は手術が中心です。顕微鏡あるいは内視鏡下に行いますので多くは全身麻酔ですが、術後合併症が少ないため早期退院が可能です。当院では中耳手術を3泊4日の短期入院(全身麻酔)または日帰り(局所麻酔)で行っており、スムーズに日常生活に戻っていただけるよう、初診から入院・手術、退院後の外来受診までを各部署で連携して行っています。
慢性中耳炎のほぼ全例、初期の先天性真珠腫、耳小骨奇形の一部症例、外リンパ瘻等が適応です。術中所見に応じて顕微鏡を併用し、幅広い症例に対応します。
外来(日帰り)で行います。耳後部の皮膚切開が不要ですので鼓膜の表面麻酔のみで、1回で閉鎖しなかった場合も同じ方法での再手術が可能です。耳の状態によっては従来の鼓膜/鼓室形成術をご案内します。
顔面神経麻痺は稀な合併症ではありますが、真珠腫性中耳炎の症例では全例、その他の中耳手術の一部症例で使用し、副損傷を予防しています。
手術日が決定した方には術前検査(聴覚検査や画像検査、全身麻酔検査)や手術説明、入院案内を1~2回の受診に集約して行い、何度も当院まで足を運んでいただかなくても済むよう計画しています。手術時にはできるだけ耳内にガーゼ等の人工物を留置せず、自然に吸収される素材で充填・再建することで術後疼痛や感染リスク、処置頻度を低減します。皮膚表面接着剤で皮膚切開部を被覆しますので、手術翌日からシャワーが可能で、ほとんどの方が術後2日目に退院されます。
神戸大学附属病院耳鼻咽喉科頭頸部外科 柿木章伸特命教授を顧問・応援医師として定期的にお迎えし、難治症例に対応しています。
耳科手術のほとんどが良性疾患で、放置していて命を落とすことは稀です。多くは聴力改善や耳漏停止を目的として治療しますが、中には日常生活に支障がないにもかかわらず手術が必要なケースがあります。初診患者様にはまず病状や疾患そのものについてお話しし、必要に応じてCT等の検査を行った上で「手術が最善の治療かどうか」をご説明させていただきます。
感染のある状態でご紹介いただいた場合は、通院治療をすすめながら方針を決定します。特に、これまでの治療経過で抗菌薬を長くあるいは頻回に使用せざるを得なかった場合は、耐性菌や真菌、あるいは病原体以外が原因で難治性耳漏となっている可能性があり、精密検査や治療のために通院治療が長期にわたることがあります。検査の結果、保存的治療の方針となった場合はご紹介いただいた先生と連携して経過観察を行います。
月曜日(午前) | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日(午後) | 金曜日 |
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耳外来(再診) | ー | 手術日(全身麻酔) | 再診 | 午前・午後は耳外来(初診) 昼は日帰り手術(鼓膜再生療法) |
センター長 | 山本 沙織(耳鼻咽喉科) |
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顧問・応援医師 | 柿木 章伸(神戸大学附属病院 耳鼻咽喉科頭頚部外科 特命教授) |