膠原病リウマチ内科

膠原病リウマチ内科診療科・部門・センター

診療科の概要

当科の特徴

膠原病・リウマチ疾患は全身の様々な臓器に問題を起こします。同じ病名でも症状は個々で異なることが多いので、身体診察・採血・画像検査などの様々な検査を行い総合的に診断しています。膠原病・リウマチ疾患は診断・治療が難渋する場合もあり、科内カンファレンスで情報を共有して適切な診断・治療をしています。

また、当科は「他科との連携」や「かかりつけ医との連携」も重要視しています。膠原病・リウマチ疾患は長期にわたる治療が必要であり、各方面との連携を大切にしています。

身体的や精神的な負担にならないように、生活の一部として「通院、治療」ができるように患者さんをサポートしていきます。

当科の体制

  • 2024年7月時点で常勤医師4名+α(専攻医)(うち日本リウマチ学会指導医2名)で診療しています。
  • 月曜日から金曜日まで毎日外来をしています。
  • 初期研修医の先生にもローテートしてもらっており、抄読会や関節エコー勉強会などを通して若手医師の教育にも力を入れています。

主要対象疾患

  • 関節痛を起こす疾患
    関節リウマチ、脊椎関節炎(乾癬性関節炎、強直性脊椎炎など)、リウマチ性多発筋痛症など
  • 発熱を起こす疾患
    全身性エリテマトーデス、血管炎症候群(ANCA関連血管炎、巨細胞性動脈炎、高安動脈炎など)、不明熱、成人スチル病など
  • 採血異常を起こす疾患
    全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、皮膚筋炎、全身性強皮症、混合性結合組織病、シェーグレン症候群、IgG4関連疾患、ベーチェット病など

自覚症状が乏しくても採血異常のみで当科にご紹介いただいている患者さんもおられます。同じ病名でも患者さんによって起こる症状は様々ですので、その都度主治医に相談して下さい。

トピックス

関節エコー

非侵襲的・簡便に関節を観察できるものです。関節リウマチや類縁疾患の鑑別、診断、治療効果判定に有用です。関節痛を起こすリウマチ性疾患の診断や治療効果判定に重要なツールです。当科では外来診察室に関節エコーを設置していますので、すぐに評価をできます。

JAK阻害薬

関節リウマチに対する新規の内服薬です。2022年10月時点で当科では5種類処方できますので、個別に薬剤を選択しています。専門的な治療ですので、副作用面を鑑みて慎重に使用を検討させていただきます。

スタッフ紹介

  • 山本 譲

    やまもと ゆずる

    山本 譲

    診療科長

    【専門領域】

    膠原病リウマチ領域全般

    【学会専門医・認定医・その他】

    日本内科学会内科認定医・総合内科専門医 日本リウマチ学会専門医・指導医・登録ソノグラファー 医学博士(神戸大学) 臨床研修指導医講習会修了 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 藤川 良一

    ふじかわ よしかず

    藤川 良一

    【専門領域】

    膠原病リウマチ領域全般

    【学会専門医・認定医・その他】

    日本内科学会内科認定医 日本リウマチ学会専門医・指導医・登録ソノグラファー 臨床研修指導医講習会修了 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 坪谷 沙紀

    つぼたに さき

    坪谷 沙紀

    【専門領域】

    膠原病リウマチ領域全般

    【学会専門医・認定医・その他】

    日本内科学会内科専門医 日本リウマチ学会専門医 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 藤澤 聡

    ふじさわ あきら

    藤澤 聡

    【専門領域】

    膠原病リウマチ内科

    【学会専門医・認定医・その他】

    兵庫県難病指定医 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 長谷川 侑美

    はせがわ ゆうみ

    長谷川 侑美

    専攻医

    【専門領域】

    膠原病リウマチ領域全般

    【学会専門医・認定医・その他】

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 松山 裕

    まつやま ゆたか

    松山 裕

    専攻医

  • 山内 貴仁

    やまうち たかひと

    山内 貴仁

    専攻医

    【学会専門医・認定医・その他】

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

関節エコー実施件数

(2022年9月~2023年12月)

※(外来患者さんのみ)病棟患者さんは省略
※関節エコーは外来診察室に常備→診察後は病棟患者にも使用

外来新規紹介患者さん(院内紹介を含む)

(2022年5月~2023年12月)

当科の外来受診患者さん

(2022年5月~2023年10月)

病名 人数
関節リウマチ 355
脊椎関節炎 62
リウマチ性多発筋痛症 24
RS3PE症候群 8
血管炎症候群 33
全身性エリテマトーデス 41
シェーグレン症候群 74
全身性強皮症 62
混合性結合組織病 5
多発性筋炎・皮膚筋炎 18
成人発症スティル病 5
ベーチェット病 16
その他 -

※同一の患者さんで病名を複数個併発している場合、終診の方も含みます。

当科の入院理由

(2022年5月~2023年10月)

入院理由 人数
膠原病疾患の診断と寛解導入療法 34
膠原病疾患の再燃への治療 6
関節痛や発熱、膠原病疾患疑いの精査目的 30
感染症の治療 23
薬剤による副作用への対応 4
生物学的製剤の導入目的 19
その他 20
合計 136

当科の入院患者さんの病名

(2022年5月~2023年10月)

病名 件数
関節リウマチ 33
血管炎症候群 26
全身性エリテマトーデス 13
全身性強皮症 5
混合性結合組織病 5
多発性筋炎・皮膚筋炎 13
シェーグレン症候群 2
IgG4関連疾患 4
再発性多発軟骨炎 1
成人発症スティル病 1
感染症治療(内科輪番含) 23
その他 を含めた合計 136

地域医療機関の先生方へ

「はり姫」で膠原病リウマチ患者様の診療を継続できているのは、地域医療機関の先生方より患者さんを多くご紹介いただいているからであります。原因不明の関節痛、不明熱、抗核抗体陽性など膠原病やリウマチ疾患を疑う所見がありましたら当院の地域連携を介して当科にご紹介いただければと思います。

当科で加療させていただき、疾患活動性がある程度安定すれば地域医療機関のかかりつけの先生方と連携して患者さんを診察していきたいと思っています。地域医療機関の先生方から相談しやすい、相談されやすい「科」を目指しています。当院地域連携を通してご相談していただければ幸いです。

ある専攻医の一週間(※個人で異なります)

病棟業務 抄読会/午後外来 抄読会/病棟カンファ 病棟業務/午後外来 病棟業務

※専攻医の先生は外来を0.5-1コマ/週、担当していただきます。
※毎朝(毎夕)に病棟業務の相談、治療方針の確認をします。
※定期/不定期の勉強会 (関節リウマチセンター会議、関節エコーカンファ)が勤務時間内にあります。

専攻医からのメッセージ

膠原病リウマチ内科をローテートしてみて

私は腎臓内科志望であり、SLEやANCA関連血管炎などといった膠原病の疾患が腎臓に関連することが多く、治療や病態の理解などを学ぶ機会が多くあると思い、この度ローテをさせていただくことにしました。実際にローテをしてみて、膠原病の知識はもちろんのこと、内科や医療の一般的なことなど、様々な経験をさせていただくことができ、非常に有意義な研修となりました。

膠原病は全身性の疾患であり頭から足先まであらゆる臓器が関与する幅広い知識が必要なこと、新しい治療薬の登場など、知識のアップデートも凄いと感じました。3か月のローテでは膠原病の細部まで知ることは正直難しかったですが、今回得たことを今後の診療に活かしていきたいと思います。優しく指導してくださった先生方、診療に携わった様々な職種の方々に感謝いたします。

当院の膠原病リウマチ内科では他科ローテでも多くのことを学ぶことができ、有意義な研修をすることができます。内科専攻医の先生だけでなく、初期研修医の先生もぜひ検討いただければと思います。

膠原病リウマチ内科医としてのスタート@はりま姫路総合医療センター

私は、はり姫内科専攻医プログラム1年目の10月から膠原病リウマチ内科に所属し、Rheumatologistに成るべく、膠原病診療に携わるようになりました。当院の膠原病診療の特徴は、①西播磨全域をカバーしていることによる豊富な症例数と、②疾患毎に情報をupdateしながら最新の医療を提供できること、であると思います。

  1. 当院は地域の中核病院であるため、各病院から日々様々な患者さんが紹介となります。入院では、SLEやANCA関連血管炎など日常診療で比較的多く遭遇する疾患の寛解導入治療だけでなく、抗MDA-5抗体陽性皮膚筋炎など重症化し得る疾患のマネージメントや、関節リウマチの生物学的製剤導入など幅広く学ぶ機会があります。上級医の先生方は、個々の学ぶ姿勢や理解度に合わせて的確なアドバイスをして下さります。
  2. 膠原病診療は、薬剤の進歩により年単位で治療が変わり続けています。従来の治療薬に固執するだけでなく、患者さんへの適応を吟味した上で、最新の治療薬の導入を積極的に行える環境が整っています。

私は、膠原病診療に対して、研修医の時には馴染みのない免疫抑制薬の使用や、それによる感染症や副反応についてなど、最初に学ぶべきハードルが高いと感じていました。しかし、症例1つ1つをじっくりと理解し学ぶ環境が当院にはそろっています。膠原病診療へ関心のある方はぜひ一度当院へ見学に来て頂き、どのような患者さんがどのような治療を受けているのか見て頂けると幸いです。

指導医からのコメント

はり姫は優しいスタッフの方々がいて、近医の先生方から多数のご紹介をいただき、他科も充実しており、膠原病診療の経験を積むのに最適な環境が整っています。

私は姫路市出身で大学進学を契機に神戸市に住むようになり、以降神戸の病院に勤務していましたが、妊娠・出産を経てこの兵庫県立はりま姫路総合医療センターに2023年5月より勤務させていただくようになりました。

現在は子育てをしながら時短勤務をさせていただいており、限られた時間の中ではありますが病棟業務にも関わりつつ外来経験を積み、この度リウマチ専門医の資格を取得することもできました。優しいスタッフの方々のおかげでこうしてお仕事ができ、自分を高めることができていることに感謝の日々です。

私が膠原病リウマチ内科医を目指すきっかけとなったのは、全身に臓器病変を来しうる膠原病診療において、幅広い知識を持ち、患者さん一人ひとりについてじっくりと考え最善の治療方法を選択する先輩医師に憧れを抱いたことでした。膠原病は同じ診断名でも生じている臓器病変も違えば重症度も様々で、治療によって出現する副作用や合併症も多種多様です。その中で日々、患者さんに生じている問題を一つひとつ丁寧に捉え、一人ひとりに適した治療方法を選択していくのは大変なことではありますが非常にやりがいのあることだと感じています。また、膠原病は完治するものではなく寛解を目指すものであり、患者さんの人生に寄り添いながら長くお付き合いしていくことができるのも魅力の一つです。

膠原病診療は単科で成り立つものではなく、他臓器の専門家の先生方と日々議論を行っていくことが必要であり、他科も充実しているこの兵庫県立はりま姫路総合医療センターは非常に恵まれた環境だと感じています。膠原病診療ができる病院は兵庫県内でも限られており、当院では主に姫路市以西の患者さんが重症度を問わず集まり、診療に当たっています。病棟にて非常に重症な患者さんの治療も行う一方で、外来では近医の先生方から多数のご紹介をいただき幅広い疾患の経験を積むことができ、自身を高めていくにも最適な環境が整っています。

研修医・専攻医の皆さん、ぜひはりま姫路総合医療センターで一緒に膠原病診療を学んでいきましょう!

学術活動紹介

講演会

演者 演題名 講演会名 発表日
高井 慶太郎 炎症性関節疾患に対する生物学的製剤導入時の網羅的検査の意義の検証 第68回 日本リウマチ学会総会・学術集会 2024年4月18日~20日
長谷川 侑美 Podocyte infolding glomerulopathy(足細胞陥入糸球体症)の所見を認めた全身性エリテマトーデスの1例 第68回 日本リウマチ学会総会・学術集会 2024年4月18日~20日
中林 義晶(初期研修医) 免疫抑制療法で加療した混合性結合組織病の運動誘発性肺高血圧症の一例 第38回 日本臨床リウマチ学会 2023年11月18日~19日
藤川 良一 筋CTで著明な筋委縮を認めた亜急性の多発性筋炎に対して治療介入早期からのリハビリテーションが奏功した一例 第67回 日本リウマチ学会総会・学術集会 2023年4月24日~26日
山本 譲 ANCA関連血管炎に併発した手指虚血に対して治療効果を得た2症例 第67回 日本リウマチ学会総会・学術集会 2023年4月24~26日
藤川 良一 irAEのマネージメント 膠原病サマーセミナー 2022年7月30日
山本 譲 膠原病・関節リウマチを簡単に身近に感じる はり姫健康講座 2022年10月19日

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