はりま姫路総合医療センターにおいて、画像診断装置を用いた患者さんの検査は、診療放射線技師が担っています。
放射線部の業務は、エックス線やガンマ線(放射線)、強力な磁場と電波を利用した画像診断装置で身体から画像情報を取得し、これを医師と患者さんに提供しています。いずれの画像診断装置においても、十分な教育と訓練を受けた診療放射線技師が検査を担当しています。
高度な専門医療と急性期医療を提供するとともに、播磨姫路圏域の重症救急診療の最後の砦として住民の命を守るため、以下の目標を掲げて、私たちは日々努力しています。
一般撮影、X線TV、X線CT、血管造影、核医学、MRI、放射線治療、超音波の部門に分かれて、現在、60名の診療放射線技師が勤務しています。また、夜間や休日にも対応できるように日直、当直体制をとっています。
一般撮影部門では、胸部、腹部および骨撮影などのX線撮影を行っています。またX線TV部門ではバリウムや内視鏡を用いて、胃、小腸、大腸などの消化管検査の他、骨折の整復、泌尿器の検査を行っています。
当院には、マンモグラフィ認定資格を持つ女性技師が在籍しております。
撮影する部分にX線を透過しにくい物がある場合は、写真に映り込むことがあります。次の物は診断の妨げになるため、検査前に外して頂きます。
検査で分からない事や心配な事があれば、放射線技師にお尋ね下さい。
医学における放射線利用は、放射線の照射によって患者さんの健康を守ることが目的です。一律に線量の制限を加えると十分な放射線診療を受けられない患者さんが生まれ、かえって健康を損ない、患者さんの利益を制限するおそれがあるという考え方があります。この考えに基づき、医療で患者さんが受ける放射線の量に制限はありません。
ただし、放射線検査は、患者さんの診断や治療のために、医師が必要と判断したものだけを行います。診断情報や治療効果を得るための最適な放射線量で検査が実施できるよう、私たち診療放射線技師が責任を持って管理しています。
Revolution Apexには最新鋭技術が搭載されており、撮影寝台の移動がなく最短0.28秒で冠動脈や心臓弁の撮影が可能なため、不整脈や高心拍症例に対しても低被ばくで高精細な画像を提供できます。また、高精度デュアルエナジー撮影法で得られる様々な画像を用いることで大幅に造影剤を減量し患者様の負担軽減や、病変検出感度の向上が可能となりました。
CT検査はX線を体の周囲から当ててX線透過情報を取得し、コンピュータを用いて身体の輪切りの画像を取得できます。取得した多数の輪切りの画像を重ねて、コンピュータで3次元画像処理し、立体的な画像を作成することも出来ます。右図は、心臓と冠動脈の様子を立体的に示したものです。
冠動脈CTA画像。静脈から造影剤を投与して撮影し、3次元画像処理を行いました。左の写真はカラー、右の写真は白黒で表示。矢印は、左冠動脈前下行枝起始部の狭窄を示します。心臓CT検査は、320列ADCTの導入で、被ばく線量の低減や呼吸停止時間の短縮、造影剤量の減少等、患者さんの負担軽減を実現しました。
脳血管3D-CTA画像。静脈から造影剤を投与して撮影し、3次元画像処理を行いました。
左の写真はカラーで骨を含めて動脈を表示しています。右の写真は白黒で動脈から静脈を表示しています。
最新鋭のデュアルエナジーCT検査では、1回の撮影で様々な画像を構築でき、従来では得られなかった新たな診断情報を取得し、より精度の高い画像診断が可能です。
おおむね10分から30分で、検査は終了します。体を動かすと画像がぶれることがあります。アナウンスに合わせて「息をしっかり止め」、できるだけ動かないようにして下さい。撮影する部分にX線を透過しにくい物がある場合は、写真に映り込むことがあります。
次の物は診断の妨げになるため、検査前に外して頂きます。
造影CT検査では、「ヨード造影剤」を使用します。造影剤は血管(静脈)から注射し、血管の形状や病気の有無、性質、進展範囲などをより詳細に読み取るために使用します。血管に注入された造影剤は、体内に残ることなく、そのままの形で腎臓から尿と一緒に排泄されます。検査後は水分を通常より多めに取るようにして下さい。
造影剤を注入した患者さんには、稀に副作用の症状がでる場合があります。
次に示す症状は、検査中に起こることが多く、特別な治療を必要としない軽いものです。きわめて稀ですが(1万人に4人の割合)で重い副作用が起こることがあります。
血管造影検査(アンギオ、Angiography)は、手首や肘、鼠径部(足の付け根)にある比較的太い血管に針を刺し、血管内にカテーテル(直径2mm程度の医療用の管)を挿入し、目的の血管の血圧を測定したり、造影剤を注入し連続的にX線撮影を行う検査です。血管の形や大きさ、血液の流れを知ることで、病気を診断・治療します。
放射線技師は医師や看護師など多職種のスタッフと共に協力して検査・治療を行っています。また、緊急性の高い患者さんには、即座に治療できる体制を取っています。
ハイブリッド手術室とは、手術室に血管造影装置を設置し、手術と血管造影(透視)が可能な手術室であり従来の開胸や開腹手術ではなく、手首や鼠径部の血管から透視を観ながらカテーテルを挿入し、そのカテーテルを通じて人工弁やクリップ、ステントグラフトなどを留置するため、患者さんの負担が少なく安全に行える手術室です。この手術室では経皮的大動脈弁置換術(TAVI)、経皮的ステントグラフト挿入術、経皮的僧帽弁クリップ術(マイトラクリップ)、経皮的卵円孔閉鎖術、経皮的左心耳閉鎖術、リードレスペースメーカー埋め込み術などを行っています。
画像診断で欠かすことのできないCTとカテーテル治療に欠かせない血管造影装置を同じ部屋設置し、高エネルギー外傷等の緊急を要する患者さんをCT撮影して即診断、即カーテル治療を可能する部屋です。
カテーテルを用いて冠動脈(心臓の栄養血管)や心室などに造影剤を注入して、心臓の形や弁の動き、冠動脈の状態を調べる検査です。さらに、心臓の各部屋(左右の心房、心室)や肺動静脈、大動脈などの血圧を測ったり、超音波で冠動脈の観察をします。冠動脈の狭窄や閉塞した部分を風船の付いたカテーテルで内部から拡張する治療や、細いワイヤーで形成されたステントを留置する治療(経皮的冠動脈形成術、冠動脈血栓除去術、冠動脈ステント留置術)などを行っています。
電極カテーテルを心臓の各部屋に留置して、不整脈の原因を調べます。また、不整脈の原因病巣を電気的に焼灼し、不整脈を治療(カテーテルアブレーション法)します。
頭・頚部の動脈、毛細血管、静脈の血管の形や大きさ、血液の流れを知ることで、病気を診断します。動脈瘤内や血管内に金属製のコイルを挿入し瘤の破裂を防ぐ治療(コイル塞栓術)や、薬を用いた血栓溶解術なども行っています。
腹部の動脈、毛細血管、静脈の血管の形や大きさ、血液の流れを知ることで、病気を診断します。腫瘍の栄養血管に抗がん剤を注入し、血管を塞栓する治療(塞栓術)を行っています。
四肢などの大動脈の形や四肢の末梢血管の状態(瘤形成や狭窄・閉塞)を調べ、治療方針を決定します。また、末梢動脈には、ステントを留置し血管を広げる治療(末梢血管形成術)を行っています。
血管にカテーテルを挿入して、ステントグラフト(人工血管にステントと呼ばれるバネ状の金属を取り付けたもの)を患部に装着する方法。胸部や腹部を大きく切開する必要がないため手術時間は短く、身体にかかる負担が少ないのが特徴です。
検査や治療の内容により差がありますが、おおむね1時間から2時間で終了します。血管造影検査・治療は、手術に準じるので入院して行うことになります。血管造影に用いる造影剤は、CT検査と同じものです。注意事項はCT部門をご覧ください。
当院のMRI装置は、3台ともガントリの開口径が従来よりも10㎝広い70㎝の機種となっており、検査中は頭上の鏡を介して映像を視聴できます。閉塞感の緩和と快適性の向上により閉所が苦手な方でも検査を受けやすくなっています。頭部や下肢の血管撮像には、3.0T装置を使用することで、造影剤を使用せず末梢まで良好に描出することが可能です。
心臓MRIでは、画像コントラスによる視覚的評価に加えて、心筋のT1値・T2値測定が可能で、組織性状の診断精度向上に寄与しています。また、1.5T装置では非造影の冠動脈MRAや血栓・プラーク評価の撮像も可能です。2017年から2020年の平均で年間約675件(心筋:297件、冠動脈:71件、アブレーション用心房形態:307件)の検査を行っております。
検査時間は、おおむね30分から1時間です。
MRI検査は、強力な磁石 (磁力)と電波を利用して、身体の縦切りや斜め切りなど自由な断層画像が得られる検査です。身体に電波を当てると、体内の水分子に含まれる水素原子核から磁気共鳴信号と呼ばれる微弱な電波が帰ってきます。この電波は、組織の水分子の状態により変化するため、病気の部分と正常組織を区別することができます。これらの電波をとらえ、コンピュータを用いて身体の断層像を作成します。また、血液の流れの情報をとらえて、造影剤を使用せずに血管を描出することができます。
検査終了後、取得した多数の断層画像を重ねて、コンピュータで再構築し、立体的な画像を作成することが出来ます。
MRAとは血管を描出する検査法のことです。MRAで頚部から頭部の血管の評価が、造影剤なしで行えます。3テスラMRI装置では、1.5テスラ装置に比べ画質の向上や検査時間の短縮が図れるようになりました。
心臓MRIでは、造影剤を使用することなく心臓の形態や心機能の正確な評価、冠動脈の描出ができます。また、造影剤を使用することで、心筋梗塞の範囲や程度を高分解能で捉えることもできます。
MRI検査では、強力な磁力と電波を使用しているため、次に示すような特別な注意が必要です。問診票を使用し、再度安全確認をさせて頂きます。
当センターのMRI検査では、おもに「ガドリニウム造影剤」を使用します。造影剤は血管(静脈)から注射し、血管の形状や病気の有無、性質、進展範囲などをより詳細に読み取るために使用します。血管に注入された造影剤は、腎臓から尿と一緒に排泄されます。検査後は水分を通常より多めにとるようにして下さい。
造影剤を注入した患者さんには、稀ですが、副作用の症状がでる方がいます。以下に示す症状は、検査中に起こることが多く、特別な治療を必要としない軽いものです。きわめて稀ですが(1万人に4人の割合)で重い副作用が起こることがあります。
RI検査は、身体の代謝に応じて特定の臓器や組織に集まる診断薬(放射性医薬品)を投与(ほとんどが静脈注射)し、その薬剤から放出される微量な放射線を「ガンマカメラ」という装置で撮影し、病気の有無や臓器の機能、病状を診断します。また、SPECT(スペクト、Single Photon Emission Computed Tomography)という方法で撮影すると、CTやMRIのように断層像で診断薬の集積部位を描出できるため、より詳しく病気のある部位や広がりを調べることができます。
この検査は、細胞の代謝に応じて診断薬がどの様に取り込まれるかを観察しています。RI検査画像は、病変を構成する細胞が盛んに活動しているのか、あるいは弱っているのか、機能していないのかを示すもので「機能画像」と呼ばれます。
診断薬は、CTやMRI検査で使用する「造影剤」とはまったく異なり、副作用はほとんど報告されていませんので安心して検査を受けて下さい。診断薬が、特定の臓器に取り込まれて一定の量に達するまでに、数十分から数時間あるいは、数日かかることがあります。このため、RI検査では診断薬を投与してから撮影までに待ち時間が発生します。また、食事の制限やカフェインが含まれる飲料(お茶、コーヒー、紅茶など)の制限、下剤の服用、ヨウ化カリウムの服用、ヨウ素が含まれる食事(昆布、わかめ、海苔、ヒジキなど)の制限あるいは摂取のお願い等の注意点があります。
特定の臓器に取り込まれた診断薬の量が、一定の時間を経てどれくらい減少したのか(洗い出しや再分布)を見て診断するために、2回撮影することがあります。
次の写真は、心臓の筋肉に十分な血液が流れているかを示すものです。
血流が豊富な部分を赤、低下するに従い黄色、緑、青と色分けして示しています。心臓の冠動脈に狭窄や閉塞があると、心筋は虚血や梗塞状態になります。
写真左は心筋に負荷をかけた直後のもの、写真右はその約3時間後(安静時)のものです。負荷をかけることで、病変が鮮明に検出できます。白色矢印部分に注目して下さい。負荷時に血流が乏しく、安静時に血流が回復しており(再分布している)虚血状態であることが分かります。また、血流低下部分から右冠動脈の狭窄が疑われます。
CTやMRIなどの形態(萎縮や拡大)を観察するのに対し、この検査は血流を観察するものです。下の写真は、血流が豊富な部分を赤、低下するに従い黄色、緑、青と色分けして示しています。白色矢印に注目して下さい。赤色であるはずの頭頂・後頭部領域が、黄色から緑に変化して血流が低下していることが分かります。アルツハイマー病やレビー小体型認知症などが疑われます。
検査の内容により差はありますが、おおむね30分から1時間で終了します。 しかし、心臓の診断に関わる検査では、「2回撮影」や「待ち時間」が発生します。 来院されてお帰りになるまでに、ほぼ半日かかってしまいます。 検査説明を十分に理解・納得されたうえで検査を受けてください。
使用する診断薬は、検査日にあわせて薬剤メーカーに発注します。検査当日の朝に納品され、有効期限はほぼ半日です。非常に高価な薬品であるため、やむを得ず予約日時に来院できない場合は必ず連絡をして下さい。
例として、タリウムという診断薬を用いた負荷心筋シンチ検査の流れを以下に示します。
放射線治療は、手術療法、化学療法と並んでがん治療の三本柱の一つです。放射線治療の目的は、病巣部(がん)に放射線を集中的に照射し、かつ、周囲の正常組織への線量を極力低減させて、がんを根治する、あるいは、症状を緩和することです。
新病院開院と同時に、高精度放射線治療が可能な2台のリニアック装置(外照射装置)を導入しました。一般的な外部照射から開始し、定位照射や強度変調放射線治療(IMRT)などの高精度放射線治療も順次、導入する予定です。
専門資格を有した経験豊富な放射線治療専門医、診療放射線技師、医学物理士、看護師により、安全な放射線治療を提供します。播磨・姫路医療圏における高度専門病院として、『がん医療』の地域貢献と発展のために尽力します。