われわれは、頭蓋顔面領域の外傷や生まれつきの変形の治療、マイクロサージャリーを用いた各種再建外科の手術治療を得意としています。頭蓋顔面外傷では受傷後まもない骨折や軟部組織損傷だけでなく、過去に受傷され変形治癒した顔面骨骨折の修正手術も行います。
また、口唇裂・口蓋裂などの生まれつきの変形や機能障害の治療も行っています。再建外科領域では、乳癌手術後の乳房再建、顔面神経麻痺の再建、頭頚部癌切除の再建手術を行っています。乳房再建に際しては患者さんの希望に応じて、下腹部や大腿などの自家組織だけでなく、人工乳房による再建手術も行っています。
形成外科は治療の対象が広いことから、多くの医療関係者の方々や患者さんには、どのような時に受診したらよいのか分からないことが多いと思います。そこで開院以来、一部の疾患に対して専門外来を開設しております(再建外科外来、顔面神経麻痺後遺症外来、小児形成外科外来、赤ちゃんの頭の形外来、装具外来)。これからも地域の皆様のお役に立てるよう励んで参ります。どうぞ宜しくお願い致します。
※専門外来による診療を行います
頭蓋顎顔面領域の疾患の治療計画をたてる際手術手技の向上や手術時間の短縮のため、院内で作成した3Dモデルを利用します。
変形性斜頭・短頭といった、赤ちゃんの頭の形の変形について、指導やヘルメットによる矯正治療を行います。
(写真:株式会社メディカルユーアンドエイ提供)
顔面神経麻痺は、ベル麻痺やハント症候群のようなウイルス感染や、外傷、頭蓋内腫瘍により生じます。一部の患者さんには、初期に適切な初期治療を受けたにもかかわらず、顔面の非対称、病的共同運動、顔面拘縮といった後遺症を生じることがあります。これらの症状に対して、形成外科で治療を行っています。
病的共同運動は「口を動かすと目が閉じる」などの患者さんの意図するものとは異なる表情筋が動く症状があります。一度完成してしまった病的共同運動が改善することは少ないため、A型ボツリヌス毒素の注射や選択的筋切除、神経切除などの手術を行います。
顔面拘縮は麻痺側の表情筋が持続的に強く緊張した状態です。患者さんは疼痛、ひきつれ感、顔の動きにくさなど、さまざまな症状を訴えられます。また、上述の病的共同運動、顔面拘縮を合併される方もおられます。これらに対しては、表情筋の筋伸長マッサージに加えA型ボツリヌス毒素の注射療法が有効です。
完全型顔面神経麻痺に対しては、顔面神経に対する舌下神経移行術を行います。この方法は顔面神経の中枢端を頸部で舌下神経に直接縫合します。舌下神経は強力な運動力源であり、左右対称性の回復が期待できます。また、顔面交叉神経移植や遊離薄筋移植を組み合わせることで、運動時の顔面の対称性を再現することが可能です。
おがわ はるお
小川 晴生
診療科長
【専門領域】
頭蓋顔面外科・マイクロサージャリーを用いた再建外科
【学会専門医・認定医・その他】
日本専門医機構形成外科専門医 日本形成外科学会領域指導医 日本形成外科学会再建・マイクロサージャリー専門医 日本形成外科学会皮膚腫瘍外科指導専門医 日本創傷外科学会創傷外科専門医 医学博士 臨床研修指導医(VHJ機構) 実用フランス語技能検定試験2級 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
たにぐち ともや
谷口 智哉
【専門領域】
形成外科一般、四肢外傷、熱傷
【学会専門医・認定医・その他】
日本形成外科学会専門医 日本救急医学会専門医
あべ ひとみ
阿部 仁美
専攻医
【学会専門医・認定医・その他】
がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
あさくら さや
朝倉 早耶
専攻医
【専門領域】
形成外科
【学会専門医・認定医・その他】
がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
件数 | |
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顔面骨骨折手術(変形治癒骨折も含む) | 85 |
マイクロサージャリーを用いた各種再建手術 | 47 |
眼瞼の手術 | 52 |
乳房再建 | 22 |
熱傷 | 30 |
足病変 | 50 |
赤ちゃんの頭の形外来(初診患者数) | 154 |