放射線診断・IVR科

放射線診断・IVR科診療科・部門・センター

診療科の概要

当科では現在、常勤医9名、非常勤2名が在籍し、うち3名がIVR指導医の資格を有しており、24時間体制でカテーテル治療を行える体制をとっています。

外来業務は月午前、火午前・午後、木午前に通常の外来診療を行っています。また不定期ですが水、金午前にCVポート埋め込み外来を行っています。

画像診断装置を用いた治療(IVR)は姫路循環器病センタ一時代から行っている下肢閉塞性動脈硬化症に対する血管形成術を引き続き行っています。血管系IVRでは閉塞性動脈硬化症の血管内治療や急性動脈血栓症の吸引治療を他診療科と協力のうえ積極的に行っています。また血管系のみならず総合病院化により種々のIVR治療を行っており2024年より子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術も当科にて行うようになっています。2025年からは消化器内科と共同で進行肝細胞がんに対する一時的動注リザーバー留置術も行っています。使用装置としてはバイプレーン型血管造影装置1台を当科専用として使用していますが、今後、バイプレーン型IVR-CTでの更新を行う予定です。ハイブリッド手術室では心臓血管外科と共同で血栓除去術や胸腹部大動脈疾患に対するステントグラフト治療、またハイブリッド救急初療室では救急科と共同で主に外傷性出血に対する緊急止血術を行っています。

治療方針

低侵襲なIVRではありますが、稀に重大な合併症を来す恐れのある治療でもあります。薬物治療や外科的治療についても十分説明し、患者さんとご家族の方に十分に納得して頂いた上で治療に当たるよう心がけております。

下肢閉塞性動脈硬化症におけるステント治療においては、腸骨動脈や浅大腿動脈閉塞病変を有する患者さんに最適な治療を提供できるよう、術前に閉塞血管のMRI検査を行い、術中の遠位塞栓などの合併症が発生するリスクがあるかどうかを予測し、よりリスクの低い治療が行えるようにしています。また、上腸間膜動脈の動脈硬化性狭窄による腹部アンギナが疑われる症例で、経口栄養剤負荷MRIを行いステント治療によって症状が改善するかどうかを予測する研究を行っています。

主要対象疾患

  • 下肢閉塞性動脈硬化症するPTA/ステント留置術
  • 上腸間膜動脈塞栓症に対する血栓吸引療法
  • ステントグラフト後のエンドリーク塞栓
  • 術後乳び胸/腹水に対するリンパ管造影治療
  • 各出血性疾患に対するNBCAを用いた塞栓術
  • 肝細胞癌に対するTACE/動注リザーバ留置術
  • 腎血管性高血圧症に対するステント留置
  • 上腸間膜動脈狭窄に対するステント留置
  • 内臓動脈瘤の塞栓術
  • 肺動静脈瘻の塞栓術
  • 透析シャント不全のPTA
  • その他種々のIVR治療

トピックス

  • 下肢閉塞性動脈硬化症による腸骨動脈や浅大腿動脈の閉塞病変を有する患者さんでは治療前にMRIによるプラークイメージングを行い、カテーテル治療に伴う遠位塞栓などの合併症リスクを評価しています。高リスクと判断した場合、ハイブリッド手術室で外科的血栓摘除術と血管形成術を組み合わせた治療や血栓吸引療法を併用した血管形成術を行い、合併症の低減に努めています。
  • 上腸間膜動脈の動脈硬化性狭窄による腹部アンギナが疑われる症例で、経口栄養剤負荷MRIを行いステント治療によって症状が改善するかどうかを予測する試みを行っています。

子宮筋腫を「切らずに治す」子宮動脈塞栓術
(UAE:Uterine Artery Embolization)

当院では、子宮筋腫に対して子宮を温存したい方・手術以外の選択肢を希望される方に向けて、お腹を切らない子宮動脈塞栓術(UAE)を提供しています。本邦では2014年に保険適用となった比較的新しい治療法で、欧米では標準治療として広く行われています。

子宮筋腫とは?

月経痛・月経過多・貧血・下腹部膨満・便秘・頻尿などの症状は、子宮筋腫が原因の場合があります。子宮筋腫は成熟期の女性に多い良性腫瘍です。症状がなければ治療の必要はありませんが、日常生活に支障がある場合は治療の対象となります。

治療には薬物療法や手術がありますが、より体への負担が少ない治療としてUAEが選択肢に加わるようになりました。

子宮動脈塞栓術(UAE)とは?

カテーテルを用いて子宮筋腫を栄養している血管(子宮動脈)を塞栓し、筋腫へ流れる血流を止めることで、筋腫への栄養供給を遮断して縮小させる治療です。UAEには以下の様なメリットがあります。

  • お腹を切らない、傷跡が残らない
  • 子宮を温存できる
  • 月経痛・出血量改善に高い有効率
  • 入院期間が短い(4~5日)
  • 多発筋腫・大きな筋腫にも適応可能

UAEの方法

  1. 右足の付け根を局所麻酔し、直径約2mmのカテーテルを挿入します。
  2. X線画像を見ながら子宮動脈までカテーテルを誘導します。
  3. ポリマーでできた直径0.5~1mmの球状塞栓物質(マイクロスフィアといいます)をカテーテルから両側の子宮動脈に注入し、筋腫を栄養する血管を遮断します。
  4. カテーテルを抜去し、病棟に帰って約5時間の安静を行います。

入院スケジュール

  • 1日目:入院・術前準備
  • 2日目:UAE施行(局所麻酔+鎮痛管理)
  • 3日目:術後観察・痛みの改善
  • 4~5日目:退院

社会復帰は退院後約1週間が目安です。

治療効果

症状の改善

  • 月経量の改善:85〜94%
  • 月経痛の改善:約80%

筋腫の縮小

体積で60〜80%縮小(半年から1年かけてゆっくり縮小していきます)

MRI画像

左:治療前の画像で、黄色で囲んだ部分が子宮筋腫です。
右:治療3年後の画像で、筋腫は著明に縮小しています。

長期成績

  • 5年後の症状改善率:75%
  • 再治療率:約20%
  • 症状再発率:11〜25%

※いずれも世界的な多数の臨床研究に基づくデータです。

合併症について

  • 下腹部痛
    塞栓直後〜翌日がピークです。鎮痛剤、鎮静剤でコントロールします。
  • 術後感染(1~2%)
    多くは抗生剤で改善しますが、まれに子宮摘出手術が必要な場合があります。
  • 無月経・卵巣機能低下
    45歳以下:2〜3%
    45歳以上:約8%
  • 稀な合併症
    深部静脈血栓症/肺塞栓症/Asherman症候群/子宮壊死など

妊娠・出産について

UAE後に妊娠・出産した症例は世界的に多数報告されています。
一方で、流産率が増える可能性を指摘した報告もあり、挙児希望のある方は、産婦人科医と放射線科医が合同で慎重に適応を判断します。

UAEの適応

適応となる方

  • 子宮筋腫による症状がある
  • 子宮を残したい
  • お腹を切る手術を避けたい

適応とならない、または慎重に検討が必要な方

  • 妊娠中・妊娠の可能性がある
  • 将来妊娠の希望が強い方
  • 子宮・卵巣の悪性腫瘍が疑われる
  • 子宮・卵巣・泌尿器の感染症がある
  • ヨード造影剤アレルギー
  • 閉経後(※症状がある場合は適応となることもあります)

費用について

UAEは保険適用の治療です。
医療費の3割が自己負担となり、高額療養費制度も利用できます。

よくある質問

  • 本当に傷は残りませんか?

    皮膚切開は行わず、カテーテルは約2mmと細いため、傷跡はほとんど残りません。

  • 治療に伴う痛みはどれくらいですか?

    治療によって子宮に虚血が起こり、下腹部に強い生理痛のような痛みを感じます。
    カテーテル治療中は強い痛み止めの薬と鎮静剤を使用し、半分眠った状態にして、苦痛を感じないようにしながら治療を行います。
    治療当日夜〜翌日が痛みのピークですが、鎮痛剤を用いてなるべく痛みを感じないようにコントロールします。

  • 大きな筋腫でも治療できますか?

    多くの場合で可能です。画像検査で詳細を評価します。

  • 貧血があっても大丈夫?

    大丈夫です。過多月経による貧血がある方はむしろ良い適応となります。

  • いつ仕事に戻れますか?

    多くの方が退院後約1週間で社会復帰されています。

相談・受診窓口

産婦人科または放射線診断・IVR科外来までお気軽にご相談ください。症状や生活背景、ご希望に応じて最適な治療をご提案いたします。

関連リンク

子宮筋腫note(患者さん向け情報サイト)

スタッフ紹介

  • 川﨑 竜太

    かわさき りょうた

    川﨑 竜太

    診療科長・放射線部長

    【専門領域】

    IVR・画像診断

    【学会専門医・認定医・その他】

    日本IVR学会専門医 日本医学放射線学会放射線診断専門医 臨床研修指導医 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 魚谷 健祐

    うおたに けんすけ

    魚谷 健祐

    放射線診断・IVR科部長

    【専門領域】

    画像診断・IVR

    【学会専門医・認定医・その他】

    日本医学放射線学会 放射線診断専門医 日本脈管学会 脈管専門医 日本インターベンショナルラジオロジー学会 IVR専門医 日本ステントグラフト実施基準管理委員会 胸部ステントグラフト指導医・腹部ステントグラフト指導医 難病指定医 医学博士 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 小出 裕

    こいで ゆたか

    小出 裕

    放射線診断・IVR科部長

    【専門領域】

    IVR・画像診断

    【学会専門医・認定医・その他】

    日本IVR学会専門医 日本医学放射線学会放射線診断専門医 日本救急医学会専門医 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 中野 由美子

    なかの ゆみこ

    中野 由美子

    放射線診断・IVR科部長

    【専門領域】

    画像診断

    【学会専門医・認定医・その他】

    日本医学放射線学会放射線診断専門医 日本核医学会専門医・PET核医学認定医 マンモグラフィー読影認定医

  • 末永 裕子

    すえなが ゆうこ

    末永 裕子

    【専門領域】

    画像診断

    【学会専門医・認定医・その他】

    日本医学放射線学会放射線診断専門医 日本核医学会PET核医学認定医 マンモグラフィー読影認定医

  • 高橋 拓也

    たかはし たくや

    高橋 拓也

    【専門領域】

    画像診断・IVR

    【学会専門医・認定医・その他】

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 高橋 真依

    たかはし まい

    高橋 真依

    【専門領域】

    画像診断・IVR

    【学会専門医・認定医・その他】

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 岡本 雄太郎

    おかもと ゆうたろう

    岡本 雄太郎

    【専門領域】

    画像診断・IVR、救急・集中治療

    【学会専門医・認定医・その他】

    日本救急医学会救急科専門医

  • 橋本 雅史

    はしもと まさし

    橋本 雅史

    【専門領域】

    救急・集中治療

    【学会専門医・認定医・その他】

    ICLSインストラクター

  • 今井 涼太

    いまい りょうた

    今井 涼太

    専攻医

    【学会専門医・認定医・その他】

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

診療実績(2024年4月~2025年3月)

  • 外来患者数 2,704人
  • 入院患者数 1,029人
件数
画像診断(読影) CT 39,388
MRI 16,500
RI(心筋シンチ含む) 2,846
PET 1,058
IVR 下肢血管形成術(OTA含む) 144
 腎動脈、上腸間膜動脈ステント留置 7
PICC・CVポート埋込 272
 生検・ドレナージ 61
Fogarty血栓除去、血栓吸引 29
上腸間膜動脈塞栓吸引療法 5
緊急止血術 108
気管支動脈塞栓術(BAE) 8
内臓動脈瘤塞栓術 6
肺動静脈瘻塞栓術 4
B-RTO 4
TACE 17
UAE 9
その他 215

IVR合計

(腹部・胸部大動脈ステントグラフト内挿術含む)

889

地域医療機関の先生方へ

IVRは他の診療科の先生方と連携して治療を行うことも非常に多いです。特に心臓血管外科、救急科、消化器外科の先生方と蜜に連携し、ひとつの診療科では治療が困難な疾患をIVRの技術を用いて治療できるよう、体制を整えています。

さらにCTやMRIなどのデジタル画像診断においては地域連携の一環として各種画像検査の要請に応じており、検査終了し次第読影することで、患者さんの検査終了から画像ならびに所見の持ち帰りまでの待ち時間が最小限になるよう努力しております。

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