2022年8月26日より、毎週金曜日午後から排尿障害外来を開設しました。
兵庫県立リハビリテーション病院西播磨病院から柳内章宏部長に来ていただき、治療に難渋する患者さんの治療をお願いしています。
泌尿器科では腎臓がん・膀胱がんおよび前立腺がんなどの悪性疾患をはじめとして、前立腺肥大症、尿路結石症および過活動膀胱などの良性疾患に至るまで、地域基幹病院として、患者さんに最適な医療を提供できるよう心がけています。
特に、前立腺がん、腎臓がん、膀胱がんに対しては、手術支援ロボットであるダ・ヴィンチシステムが導入されているため、安全かつ低侵襲な手術が施行できます。また、前立腺がんにおいてはその検出率を向上させるため、前立腺生検を3D フュージョン生検で施行するようにいたしました。
尿路結石に対する治療は、体外衝撃波結石破砕装置(ESWL)に加え、最新型のレーザー機器による内視鏡手術も行うことができ、確実な尿路結石治療が可能となっています。

前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA値が高値である場合には、ほぼすべての患者さんにMRI検査(核磁器共鳴画像検査)を実施し、MRI検査で前立腺がんが疑われた場合には前立腺組織生検が必要となります。従来法ではMRI画像参考にしつつ経直腸的超音波検査を用いて前立腺針生検を行いますが、MRI画像で腫需が指摘されているにも関わらず組織生検を行っても診断がつかないことがありました。
「はり姫」では、撮像したMRIの画像を前立腺生検の機器に同期させて、指摘された腫瘍部分をより正確に組織が採取できるようになっています。

(画像提供:(株)アムコ)
尿道狭窄症とは、外傷・炎症に伴って尿道の内腔が狭くなってしまい排尿困難をきたしている状態です。原因として外傷性、医原性(治療にともなって起こる)および感染・炎症性疾患があげられますが、うち、経尿道的手術・尿迎力テーテル留置などに伴って起こる医原性が原因であることが多いと報告されています。治療方法として、経尿道手術と尿道形成術がありますが、前手術のみで根治できる症例は限られています。また、狭窄長が長い場合には、口腔粘膜を用いた尿道形成術(オンレイ術)が適応となっており、当院でも取り組みを開始しています。

なかの ゆうぞう
中野 雄造
診療科長
【専門領域】
泌尿器科低侵襲手術・尿路感染症・性機能障害
【学会専門医・認定医・その他】
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医・認定医 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医 ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 泌尿器ロボット支援手術プロクター認定医 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
にしおか しゅん
西岡 遵
【専門領域】
腎移植・泌尿器科全般
【学会専門医・認定医・その他】
日本泌尿器科学会専門医 日本泌尿器科内視鏡・ロボティックス学会泌尿器腹腔鏡技術認定医 泌尿器科 da Vinci 支援手術教育プログラム修了 がん等の診療にかかわる医師等に対する緩和ケア研修会修了
おぐら そうま
小倉 壮真
【専門領域】
泌尿器科全般
【学会専門医・認定医・その他】
がん等の診療にかかわる医師等に対する緩和ケア研修会修了
はしもと りょうが
橋本 崚我
専攻医
【学会専門医・認定医・その他】
がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
| 件数 | ||
|---|---|---|
| ロボット支援手術 | 前立腺全摘術 | 32 |
| 腎部分切除術 |
31 |
|
| 膀胱全摘術 |
11 |
|
| 腎尿管全摘術 |
7 |
|
|
腎摘術 |
14 |
|
| 合計 | 95 | |
| 腹腔鏡下手術 | 腎摘除術 | 9 |
| 副腎摘除術 | 7 | |
| 腎尿管全摘除術 | 3 | |
| 合計 | 22 | |
| 開創手術 | 腎摘除術 | 1 |
| 高位精巣摘除術 | 6 | |
| 精巣摘除術 | 4 | |
| 陰のう水腫手術 | 3 | |
| その他 | 2 | |
| 合計 | 16 | |
| 経尿道手術 | 膀胱腫瘍切除術 | 108 |
| 尿路結石砕石術 | 65 | |
| 前立腺レーザー核出術 | 27 | |
| 膀胱結石砕石術 | 12 | |
| 尿管鏡 | 4 | |
| その他 | 10 | |
| 合計 | 226 | |
| その他 | 前立腺生検 | 102 |
| そのうちMRI融合標的生検 | 93 | |
| 経会陰的放射線治療用材料局所注入 | 74 | |
| 経皮的放射線治療用金属マーカー留置術 | 53 | |
泌尿器科では、新たな4名の医師での診療を行っています。製鉄記念広畑病院での診療情報も引継ぎますので、ご安心して患者さんをご紹介いただければと思います。高齢者の大半は、何らかの泌尿器疾患を有しており、特に慢性的な排尿障害に対する管理には、地域医療機関の先生方との連携が不可欠と考えています。
今後も、高度な専門的治療だけでなく患者さんのQOL向上が提供できるよう施設として取り組んでまいりますので、幅広く患者さんをご紹介いただきますようよろしくお願いします。