頭頸部腫瘍は、口腔・咽頭・喉頭・甲状腺・頸部食道・頸部・鼻副鼻腔・唾液腺・耳などに発生する腫瘍の総称で、頭頸部がんはすべてのがんの5%程度とまれな疾患です。頭頸部には、呼吸や嚥下といった人間が生きていくために不可欠な機能とともに聴覚・嗅覚・味覚・発声・構音など生活の質にかかわる機能が集中しており、治療にあたっては病気を治すことと同時に、機能面や整容面への配慮が必要となります。当センターでは、耳鼻咽喉科頭頸部外科、歯科口腔外科、腫瘍内科、放射線治療科など得意分野の異なる複数の診療科の医師が集まり、週1回のカンファレンス行なって患者さんひとりひとりに適した治療法を検討し、診察室では患者さんに選択肢を含めて説明するようにしています。
当センターでは多診療科の医師、他職種のメンバーが診断から治療そして治療後の機能回復および経過観察の一連の流れを円滑に行えるようにしています。治療においては低侵襲および機能温存をめざした手術や副作用を低減しつつ高い治療効果が得られるIMRT(強度変調放射線治療)を使用することにより、治療に伴う障害・後遺症を最小限に抑え、早期退院、早期社会復帰が可能となるように、各診療科が協力して治療にあたる集学的医療を行っています。また、治療後は機能回復訓練(そしゃく、嚥下、音声、言語、理学療法、作業療法)を組み入れ、言語聴覚士や癌専門認定看護師、がん放射線看護専門看護師など多職種のメンバーと連携し、患者さんの希望にそった良質かつ高度な包括的な医療が提供できるように努めています。


2022年5月の開院から頭頸部がん患者さんを積極的に受け入れ治療を行い、2023年1月には頭頸部がん専門医準認定施設の認定を受けるとともに、甲状腺がんにおいては、2024年4月内分泌外科学会専門医制度による認定施設となりました。甲状腺がんを含む頭頸部がんの治療を継続して行えるように、専門医を目指す若手医師の教育を行う体制を整え持続可能な医療が提供できるようにしています。
頭頸部悪性腫瘍の新患患者さんの数は2022年(5〜12月) 63例、2023年102例、2024年201例で年々増加傾向です。
開院当初から早期咽頭がんに対しては低侵襲で機能温存が可能な経口的内視鏡下腫瘍切除術(TOVS)を行うとともに、早期喉頭がんに対しては放射線治療を基本として短期の治療を希望される場合や放射線治療後の再発に対しては経口的顕微鏡下腫瘍切除(LMS)や頸部アプローチによる喉頭部分切除を行なってきました。
新たな取り組みとして2025年7月には進行上顎洞がんに対するRADPLAT治療(CDDP超選択的動注と放射線同時併用療法)を開始しました。RADPLAT治療により上顎洞がんでも手術が困難な場合や手術により多大な形態的、機能的後遺症をきたす進行がんを対象に形態および機能を温存することが可能となります。また、鼻腔や副鼻腔のがんが頭蓋底に進展してしまったケースに対しても脳神経外科、形成外科と協力して手術を行う体制を整えています。今後も、これらの新たな治療法を取り入れ、治療成績の向上をはかりつつ機能を温存する良質な医療を多くの患者さんに提供していきたいと考えています。

日本頭頸部癌学会ホームページ(http://www.jshnc.umin.ne.jp/general/section_03.html)
RADPLAT

| センター長 | 大月 直樹(耳鼻咽喉科頭頸部外科) (資格等)
|
|---|---|
| コアメンバー | 石田 佳毅(歯科口腔外科) 喜多川 浩一(腫瘍・血液内科) 余田 栄作(放射線治療科) |
単位:件
| 部位 | 新患数 | 治療患者数 | ||
|---|---|---|---|---|
| 手術 | 放射線・化学療法 | 合計 | ||
| 口腔癌 | 18 | 17 | 1 | 18 |
| 咽頭癌 | 56 | 13 | 35 | 56 |
| 喉頭癌 | 21 | 6 | 15 | 21 |
| 鼻・副鼻腔癌 | 8 | 2 | 6 | 8 |
| 甲状腺癌 | 49 | 27 | 0 | 49 |
| 唾液腺癌 | 9 | 12 | 1 | 9 |
| その他 | 13 | 3 | 10 | 13 |
| 合計 | 174 | 80 | 68 | 174 |