2026年度から「はり姫」に腎臓病センターが発足いたしました。腎臓移植を成功させるには、内科、外科、検査部門など関係するすべての部所でレベルアップが求められます。「はり姫」が一致団結して腎臓移植に取り組むために、腎臓診療に主にかかわっている科である小児科、腎臓内科、泌尿器科、緩和ケア内科のメンバーで腎臓病センターを設立・運営開始いたしました。
今や日本人の5人に1人が慢性腎臓病といわれています。慢性腎臓病は健康寿命に直結し、心臓や脳など重要臓器に悪影響を与え、がんの化学療法をはじめとするあらゆる治療に支障をきたします。厄介なことに高齢化や肥満の増加を背景として慢性腎臓病はますます増え続けるかもしれません。
慢性腎臓病の治療はやっかいですが、予防の方がいくぶんか容易いと思われます。小児科腎臓チームと成人を担当する腎臓内科の連携が早期からの治療、スムーズなバトンタッチにつながり、腎臓病悪化の予防に役立つと考えています。
慢性腎臓病が増加する一方で、我が国に30万人以上いる維持透析の方々は2021年をピークに減少傾向となりました。高血圧症や糖尿病関連腎臓病の治療の進歩のおかげで2008年をピークに新たに透析を開始する方が減少したこと、高齢化により死亡率が上昇していることが影響しています。今後透析以外の治療法が重要になってくると考えられます。
当院の小児科は腎生検による病理診断、その後の治療を行っている小児科領域では数少ない専門施設の一つです。病理診断に加え遺伝子診断も駆使しています。治療もリツキシマブなど新規の薬剤が登場し飛躍的な進歩をとげているますが、難治性の疾患もまだまだ存在しています。そのような状況で生体腎移植は解決策の一つとして熱心に取り組まれてきました。当院でも腎臓移植が安全におこなえるように腎臓病センターが尽力したいと考えています。
成人発症の腎不全患者が腎移植を行う場合は夫婦間移植が選ばれるケースが多々あります。夫婦間では血液型が一致しないことが多いですが、免疫抑制剤の進歩によりABO不適合移植の生着率は一致例とほぼ変わりがないまで治療成績が向上しています。当センターでも血漿交換療法を併用して高い生着率を目指していきます。
末期腎不全患者さんの治療方法には、血液透析・腹膜透析・腎臓移植の3つがあります。腎臓内科では腎療法選択外来でそれぞれの治療法の説明をし、時間をかけて治療法を決定していただいています。それに加えて、保存的腎臓療法(CKM)も選択肢の一つとして重要視されるようになってきつつあります。これは腎不全の進行を遅らせる、合併症の管理をすることに主眼をおき、透析治療を行わない方法です。
がん診療の末期になると緩和ケア内科へ移行いただくケースがありますが、2026年度から腎不全や呼吸不全も緩和ケアの対象になりました。それに先立ち、当院では開院時からご希望があれば末期腎不全の方々に緩和ケア内科病棟に入院いただいていました。今後、ますます必要とされると思われますので、腎臓内科から緩和ケア内科へのスムーズな連携を心掛けたいと思います。
現在は研究段階ですが、遺伝子改変ブタを用いた腎臓移植が米国から報告されています。我が国でも明治大学がドナーブタの開発に乗り出しており、近い将来腎臓移植が大きく変わる可能性が高く、我々も来るべき日に備えたいと考えています。
腎臓病センター
センター長 中西昌平

| センター長 | 中西 昌平(腎臓内科) |
|---|---|
| メンバー | 中野 雄造(泌尿器科) 西岡 遵(泌尿器科) 坂下 明大(緩和ケア内科) 忍頂寺 毅史(小児科) 青砥 悠哉(小児科) 上田 知佳(小児科) |
