
専門医としての知見を活かした、具体的な症状や病気に関するコラムです。
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貝のカキは冬のグルメですが、生ガキを食べるとノロウイルスに感染することがあり、下痢や嘔吐を起こすことがあります。中には、生ガキだけではなく、焼いたカキやお鍋のカキでもお腹をこわす方がおられます。このような方は、カキを食べて2時間ほどしてから腹痛や下痢を起こすことが多いのですが、これが女性に多いアレルギーの1種でFPIESと言います。
「はり姫」は播磨地区には2つしかないアレルギー疾患の准拠点病院で目、鼻、肺、消化器、小児のアレルギー疾患を得意とする医師がいます。私も、食道や胃腸のアレルギーの診療は得意ですよ。
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
院長 木下芳一
胃の酸が食道に逆流し、胸やけやすっぱい酸が上がってくる呑酸(どんさん)症状が起こる病気が逆流性食道炎です。胃の酸を減らすPPIなどの薬を永く飲まれる患者さんがたくさんおられます。この病気は太っている人、最近太った人に起こりやすいのです。お腹に脂肪がつくと、その脂肪が胃を外から圧迫して胃の中の酸が食道に逆流しやすくなります。
胸やけの症状は嫌だが、薬を永く飲むことも副作用が起こらないかと心配される方が多いですが、薬をやめるためにはお腹周りをすっきりさせると良いことが分かっています。食事療法、運動療法、どちらでも良いですよ。
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
院長 木下芳一
胃の中に住んでいるピロリ菌は、胃潰瘍や胃がんの原因となる菌で最近はピロリ菌の感染が見つかれば、菌を殺す除菌治療をすることが多いです。ピロリ菌がいなくなると、潰瘍にはすぐになりにくくなるのですが、胃癌はしばらく起こりやすい状態が続きます。ピロリ菌を除菌してから10年ぐらい経過しないと明確に胃がんになりにくくなったと言えないのです。
ピロリ菌を除菌しても安心はせずに、しばらくの間は定期検診を受けていただくのが良いと思います。ピロリ菌を除菌するとだんだんと胃がんになりにくくはなりますが、除菌治療後に胃がんになる患者さんもたくさんおられます。
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
院長 木下芳一
私は加古川の生まれ育ちで、神戸大学を卒業しましたが、42歳の時から23年間ほど山陰の出雲市にある島根大学の消化器内科の教授をしていました。山陰地区の人たちは釣りを趣味とする人が多く、魚を釣って新鮮な魚をお刺身でよく食べます。ところが、良く釣れるアジ、サバ、イカにはアニサキスという小さい寄生虫がいることが多いのです。良く見ればわかりますが、小さいので見えにくく気づかずに食べてしまうと、この寄生虫が胃の壁にかみついて、炎症が起こりものすごく痛いです。
自分で釣った魚をお刺身で食べてその数時間後に腹痛が起こり救急に来られると大抵はアニサキスでした。瀬戸内では釣りをする人が少ないのか、あまり見かけませんが、新鮮なお魚のお刺身は小さいひも状の虫がいないか良く眺めてから、良く味わいましょう。
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
院長 木下芳一
慢性的な便秘は非常に多い病気で日本人の20人に1人ぐらいは便秘で困っています。特に腸の働きが低下してくる高齢者では10人に1人以上の人が便秘です。
便秘の薬には大きく分けても10種類以上のものがあり、飲み方や飲んでから効果が出るまでの時間、副作用、お値段、強さ、などがずいぶん違います。医師の処方箋なくても薬局で自由に購入できるものもありますし、医師の処方箋がないと購入できないものもあります。内服すれば数時間後には便が出るものもありますが、内服を始めてから3日ぐらいしないと効果がでないゆっくりと効くものもあるのです。便秘の薬を使用するときはちゃんと説明を聞きましょうね。
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
院長 木下芳一
下痢は男性に起こりやすい症状で、昔「探偵ナイトスクープ」で男性は便を漏らしたことがある人が多い? というテーマで町での調査がされ、男性に下痢が多いことが再認識されたことを覚えています。下痢は普通ですと数日以内に軽快し治るものです。ところが、下痢が1か月以上継続する方が時々おられます。人口の20~30人に1人ぐらいだといわれています。下痢が1か月以上続いていると何かその原因となる病気があることが多いので、注意が必要です。
慢性的に下痢を起こす病気の中には、潰瘍性大腸炎や膠原繊維性大腸炎、胆汁性下痢のように特別な治療をおこなうと下痢症状をすっきりと直せる病気もたくさん含まれています。1か月以上、下痢や軟便が続く場合には一度医療機関で相談してみてください。
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
院長 木下芳一
食べ物に対するアレルギーでは、食べてすぐに症状が出る即時型の食物アレルギーと食べてから2~3時間以上、時には2~3日以上経過してから調子が悪くなる遅延型の食物アレルギーがあります。
遅延型のアレルギーの1つが好酸球性食道炎・好酸球性胃腸炎という病気で食道や胃腸に好酸球という白血球の1種がたくさん集まってきて慢性的な炎症をおこします。その結果、胸焼け、食べ物を飲み込むと引っかかる、胃が痛い、下痢をする、食欲がないなどの症状が起こります。
以前はこの病気は珍しい病気でしたが、この頃は患者さんの数が多くなっている病気です。花粉症や喘息などのアレルギー疾患を持つ方がなりやすい病気です。アレルギーのある方に、繰り返してお腹の症状が出るときには1度は疑ってみる病気です。「はり姫」にはIBDセンターがあり、好酸球性食道炎や好酸球性胃腸炎の患者さんの診療を積極的に行っています。
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
院長 木下芳一
食事をした後で胃のあたりが重い感じが何時間も続いて、次のご飯を食べれなくなってしまう方がいます。このような症状を「胃もたれ」と言います。
食後の「胃もたれ」の原因は胃がんや胃潰瘍のような内視鏡検査をすればわかる病気もありますが、多くの方では内視鏡検査をしても異常は見つからず、機能性ディスペプシアと診断されます。
昔は食後の「胃もたれ」の原因は胃の動きが悪いためだと考えられていましたが、調べてみると胃の動きが悪い患者さんは3人に1人もいませんでした。むしろ、胃酸が急に十二指腸に流れ込んで十二指腸の粘膜を刺激して「胃もたれ」が起こったり、胃が敏感になって「胃もたれ」が起こる方の方が多いことが分かっています。胃の酸を減らす薬が有効なことが多いこともわかっています。
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
院長 木下芳一
胃の酸が食道に逆流して胸焼けがおこる逆流性食道炎は、高齢者に多い病気です。特に高齢者では重症化しやすく、寝ている時に喉のところにまで胃酸が上がってきて咳き込んだり、眠れなくなったりします。
そんな時は体の左側を下にして横を向いて寝てみてください。左を下にすると胃から食道の中に逆流が起こりにくくなることが分かっています。枕を2~3個おいて上半身を高くすることも有効だと言われていますが、とりあえず実施しやすいのは左下横向き寝だと思います。だまされたと思ってやってみてください。だましませんので!
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
院長 木下芳一
逆流性食道炎の逆流はお肉などの油こい物をたくさん食べた時に起こりやすいです。また、アルコール類を飲むと逆流が起こしやすくすることが分かっています。ビールを飲みながら焼肉をたくさん食べた時などがこれにあたります。美味しく焼肉を頂いた後で、胃酸の食道内への逆流が起こって胸焼けが起こって困ることが心配されるのです。
胃酸の食道内逆流による胸焼けが起こっても唾液がたくさん出ていれば唾液が胃酸を胃の中に洗い流してしまい、胸焼けが起こりにくくなります。チューインガムは唾液の分泌量を10倍ぐらいに増やす魔法のお菓子です。
焼肉屋さんのレジでガムをもらいながら、やさしい焼肉屋さんに感謝です。
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
院長 木下芳一