
「はり姫」のミッションや病院経営に関するコラムです。
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重症患者さんを救急で受け入れる救命救急医療は人手がかかり、使用する薬剤や診療材料も高額なものが多く赤字になりやすい医療です。いつ救命救急医療が必要な方が発生するかはわかりませんので、病院はいつでも受け入れることが出来る体制で待ちます。ここでも固定費コストが発生し、さらに赤字になりやすくなります。
救急医療に加えて、災害医療、地域の病院の支援、研修医の育成なども赤字になります。でも、これらの仕事を基幹病院としてやめるわけにはいきません。県立病院には赤字になってもやめることが出来ない、たくさんの仕事があるのです。
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
院長 木下芳一
「はり姫」は入院病床数が736床の兵庫県西部最大の病院です。手術室は16室あります。CT装置は7台、MRI装置は4台あります。2,500人の職員が仕事をしており、医師数は300人、看護師数は1,000人です。外来には毎日1,300人の患者さんが来られ、そのうち100人は初めて「はり姫」を受診する初診の患者さんです。1年間に300億円分ぐらいの医療を行っています。
「うまい棒」の年間売り上げの5倍ぐらいでしょうか。頑張っているのですが、残念ながら昨年度(2024年度)は赤字だったのです。日本の自治体病院の95%ぐらいは赤字になっています。赤字解消に向けて頑張っています。
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
院長 木下芳一
「はり姫」は開院後に経営改善を常に行っていて、赤字額は年々小さくなっていますが、残念ながら今でも赤字です。
日本の自治体病院の95%は赤字ですが、民間病院を加えた病院全体でも70%ぐらいは赤字だと思います。関東のある地域ではその地域の救命救急医療を担当していた民間病院が赤字のため救急医療を中止して、その地域の救急医療がなくなってしまったというニュースをご覧になった方も多いと思います。
病院でお支払いいただく料金は国が決めています。病院では決められません。この料金は最近20年ぐらいは変わっておらず、20年前と同じ医療を行っていれば料金はほぼ同じです。高血圧で同じ薬を20年間飲んでいて1か月に1回病院を受診している患者さんがおられると、その方が病院で支払う料金は20年間ほぼ同じはずです。この間に、物価が上がりましたので、注射器や針やアルコールなどの値段は倍になり、人件費も大きく上がりました。医療を行うのに必要な経費は大きく上がりましたが、いただける診療費は上がっていませんので、救急や手術や抗がん剤治療などの経費がたくさんかかる診療を行っている急性期病院は赤字になっているのです。
急性期病院は脳卒中、心筋梗塞、心不全、癌、骨折、事故、急病などの治療をたくさん行いますので、これらの医療の提供が難しくなりつつあります。
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
院長 木下芳一
日本には9,000ぐらいの病院があります。このうち10%程度が「はり姫」のような公立病院(自治体病院)、10%程度が日赤病院のような公的病院、そして残りの80%ぐらいが民間病院です。
公立病院は10%しかないのですが、災害拠点病院、地域医療支援病院、重症患者の救命救急医療を行う3次救命救急センターを持つ病院、感染症指定病院などの政策医療を行う病院の多くが公立病院です。これらの政策医療は赤字になりやすく、今では全国の病院の70%が赤字なのに、公立病院では95%が赤字になっている理由の1つだと考えられます。
赤字になってもこれらの政策医療は行わなければなりませんので、公立病院の1つとして「はり姫」もこれらの社会インフラとしての政策医療を、これからもしっかりと行っていきたいと思います。
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
院長 木下芳一
「はり姫」は3次救命救急センターを持つ病院です。兵庫県の西部では「はり姫」だけにありますが、3次救命救急センターでは最も救急度の高い最も重症の救急患者さんを診療します。
1次救急とは発熱などの病気に対応することでクリニックや姫路市夜間休日診療所が対応します。2次救急とは脳卒中や心筋梗塞、骨折などで姫路では21ある救急告示病院が対応します。もちろん、「はり姫」は救急告示病院ですから脳卒中、心筋梗塞、重症骨折などの患者さんをたくさん受け入れています。
3次救急とは心筋梗塞で心臓が止まったとか、交通事故で出血し血圧が下がって意識がない、というようなすぐに治療をしないと助けることができない患者さんの治療を行う救急医療です。「はり姫」は姫路地域で最も救急度の高い最も重症の患者さんを中心に重症2次救急、3次救急の患者さんを最もたくさん受け入れている病院です。
兵庫県立はりま姫路総合医療センター
院長 木下芳一